研究課題/領域番号 |
17KT0129
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
梅村 康浩 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40612734)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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キーワード | 体内時計 / 炎症 |
研究実績の概要 |
本年度は、「体内時計の乱れ」から「炎症反応」への関係を調べるための実験設備の構築と条件検討、組織学的解析法の確立を行った。マウスの飼育環境の光条件を頻繁に変更して、妊娠マウスの活動時間を変える条件(CJL条件)での飼育を行い、母体の胎盤にみられる炎症、母親及び新生児の体内時計を観察する実験計画である。倫理的見地から、急激な体重変化が見られた場合等のエンドポイントを設定し、その個体の解剖・組織学的検討を実施する。具体的なCJL条件は、次に示す3条件で飼育を開始できるようにした。条件1:通常の明暗条件(12時間明期、12時間暗期)、条件2(位相前進):CJL条件(4日に一度8時間ずつ明暗周期が早く始まる)、条件3(位相後退):CJL条件(7日に一度8時間ずつ明暗周期が遅く始まる)。条件2は、条件3よりもシビアなCJL条件である。CJL条件は、活動時間が自然界での昼夜のリズムと乖離してしまうシフトワークにも相当するため、妊婦のシフトワークが流産率を高めるという研究報告と合わせて考えると、本研究課題の重要性が増すと考えられる。体重変化を計測するとともに、一部のマウスについては輪回し行動を指標とした観察を行い、体内時計の状態を確認し、各条件での飼育を20日間続け、母親と新生児マウスを安楽死させ、CJL条件により引き起こされる変化を検討していく予定である。また、組織学的な解析のために、組織固定条件の検討と切片作製と一般的な組織染色法であるヘマトキシリン・エオジン染色や免疫組織化学染色法の確立を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マウスを用いた実験環境整備とその組織学的な解析方法の確立を行っていたため。
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今後の研究の推進方策 |
「体内時計の乱れ」から「炎症反応」への関係を調べる。飼育環境の光条件を頻繁に変更して、妊娠マウスの活動時間を変える条件(CJL条件)での飼育を行い、母体の胎盤にみられる炎症、母親及び新生児の体内時計を観察する。倫理的見地から、急激な体重変化が見られた場合等のエンドポイントを設定し、その個体の解剖・組織学的検討を実施する。体内時計のレポーターマウスであるPER2::Lucノックインマウスを用いる。具体的には、マウス(PER2::Lucノックインマウス、各群5匹程度)を準備し、前述した3条件で飼育を開始する。体重変化を計測するとともに、一部のマウスについては輪回し行動を指標とした観察を行い、体内時計の状態を確認する。各条件での飼育を20日間続け、母親と新生児マウスを安楽死させ、CJL条件により引き起こされる変化を検討する。体内時計は、時計遺伝子から構成されており、体内のほぼ全ての細胞に存在しているので、 時計遺伝子PER2にホタルルシフェラーゼ遺伝子を挿入したレポーター遺伝子をもつPER2::Lucノックインマウスを用いることで、CJL条件下で飼育したマウスの標的組織における体内時計の状態を組織レベルで検討することが可能である。したがって、各条件で飼育したPER2::Lucノックインマウスから、時計中枢である視交叉上核と胎盤をサンプリングして器官培養下にて、組織全体の発光イメージングを行い、体内時計の状態を比較・検討する。発光イメージングによる体内時計の組織・細胞レベルの直接観察に加えて、継時的な遺伝子発現のマイクロアレイなどを用いた網羅的解析、誕生後の行動観察も行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスを用いた実験設備の構築と解剖・組織学的解析方法の習得と確立を行っていたことによる実験計画の遅れがあったため。使用計画としては、主に消耗品への使用となる予定である。一部、学会参加の旅費も含める計画である。
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