研究課題
「体内時計の乱れ」から「炎症反応」への関係を調べた。マウスの飼育環境の光条件を頻繁に変更して、マウスの活動時間を変える条件(CJL条件)での飼育を行った。炎症反応にターゲットを絞っていたが、ノンバイアスな解析をまず行うこととした。倫理的見地から、急激な体重変化が見られた場合等のエンドポイントを設定し、その個体の解剖・組織学的検討を実施した。各条件での飼育を長期間飼育した結果、早期死亡個体が多く、寿命の短縮傾向が見られた以前の研究室で得られた結果と一致した。体内時計のレポーターマウスであるPER2::Lucノックインマウスを用いて、体内時計の中枢として考えられている、視交叉上核(SCN)における体内時計の発光リズムを観察をした。その結果、体内時計のリズム障害が起こっていることを確認することができた。体重変化を計測するとともに、一部のマウスについては輪回し行動を指標とした観察を行い、体内時計の状態を確認している。CJL条件においては、体内時計のリズムが大きく乱れていることが確認できている。これら光のONとOFFのタイミングの違いだけで引き起こされる生理機能の変化、個体を死に至らしめるほどの変化は、どのようなものであるのか、さらに詳細な解析を行っているところであるが、これらのマウスの肝臓と腎臓において、老化促進や慢性炎症を示す所見が得られた。これらはシフトワーカーの健康問題としてあげられる様々な疾患と相関があることが知られているおり、全身性の病態を引き起こす病因として成立するのか今後さらに検討していきたい。
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Sci Rep
巻: 13 ページ: 2569
10.1038/s41598-020-59541-y