本研究では、音や声などの聴覚情報を用いるスポーツ経験の影響について、運動心理学的観点から検討することを目的とした。その結果、ブラインドサッカー選手は晴眼サッカー選手と比較して、聴覚刺激に対する反応自体が素早いのではなく、音源定位を伴う運動課題において音源の方向を素早く判断し運動を実行していることが示された。また、ブラインドサッカー選手は、ボールを的確にトラップする際により大きな下向きの頭部回転を用いて頭部をボール方向に向けることで、より正確に音源を定位していることが示唆された。さらに、集団でボールを扱うチームスポーツにおいて、選手間の声かけが意思決定に貢献していることが示唆された。
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