研究課題/領域番号 |
17KT0136
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 秀樹 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80236306)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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キーワード | 西洋史 / ギリシア / エジプト / 意思決定 |
研究実績の概要 |
本研究は、古代エジプトの「対話文学」と古代ギリシアの叙事詩・ 哲学的対話編とを比較しながら、それぞれのオラリティ文化の特質を、特に対比的観点から明らかにし、それぞれが対極的な政治社会的体制にどのような影響を与えたかを問うものである。本研究の特色としては、オラリティ文化の在り方を両極端な政治社会的体制の分岐的基層として位置付けて分析する研究であることが挙げられ、その具体的な分析対象として上記のような二つの古代文明の資料を扱っている。これにより、多様なテクノロジーによって政治的社会的意思決定における共在性が担保されつつある 現代社会において、オラリティ文化が政治社会的意思決定に果たす役割と影響について学術的な展望を与えることができる。初年度である平成29年度については、当初の計画通り、古代ギリシア叙事詩『イーリアス』に見られる対話による意思決定過程の特性について分析を進めた。成果として、次の論文2点(いずれも単著)及び著書1点(共著)を公にした。「大言壮語を非難されるイードメネウスの奮起―『イーリアス』第XIII書に見る強制(強請)行為―」『資料学研究』Vol.15, pp.21-44,2018年03月。「三つの没落史観~『労働と日』、古代エジプト第一中間期文芸、『平家物語』~」『新潟史学』Vol.75, pp.61-76,2017年11月。『海と陸の織りなす世界史―港市と内陸社会』(弘末雅士編)春風社,2018年03月,担当個所:「第1章 古代エジプトの河川を軸とした物流と国際関係推転のダイナミズム」。また、計画通りChester Beatty Library(ダブリン、アイルランド)で文献調査を行った。当初計画していたBibliotheque Nationale in Paris(パリ、フランス)での調査については、ナント大学に調査先を変更して実施した。ナントでは、学会発表も行い、古代ギリシアと古代エジプトの政治文化の比較研究を拡大し、日本の文芸作品も含む比較研究について報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り古代エジプトの「対話文学」と古代ギリシアの叙事詩の比較研究を行い、研究成果として、論文2点、共著1点、学会発表1回(フランス、ナント)があった。 当初予定していた海外での文献調査をおおむね予定通り実施している。アイルランド(Chester Beatty Library,ダブリン)は予定通り、フランスについてはパリの文書館からナント大学に変更して実施した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、計画通り、古代エジプトの「対話文学」と古代ギリシアの英雄叙事詩との比較研究を進める。海外調査についても、計画通りイギリスのBritish Museumで調査を行う。ドイツでの調査については、平成29年度のアイルランドでの調査で新たな調査対象があることがわかったので、ドイツにかえてアイルランドでの調査に変更する可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初400千円の図書購入(新刊)を予定していたが、出版予定が遅れているため購入できなかった。平成30年度に出版されると思われるので、出版され次第、購入する予定である。
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