研究課題/領域番号 |
17KT0141
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
神長 伸幸 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (90435652)
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研究分担者 |
山田 悟史 立命館大学, 理工学部, 助教 (00551524)
菊池 英明 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70308261)
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研究期間 (年度) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / パーソナルスペース / 対話エージェント / 自己効力感 |
研究実績の概要 |
本年度は,3カ年計画の初年度であることから,研究対象であるバーチャルリアリティ空間の設計および開発とシステムに搭載された機能の実証実験を中心に行った。 第1に,多人数の聴衆が自律的に行動をとれるスピーチシミュレーションシステムを開発した。このシステムでは,参加者の頭の向き,姿勢,心拍,音声をセンサーで取得し,得られたデータに基づいて,聴衆の行動を確率的に統制した。聴衆の自律的な行動が作り出す臨場感並びに,システム利用時の緊張感を測定する実験を実施して,従来のスピーチシミュレーションシステムを上回る臨場感と 緊張感を得られることを確認した。第2に,事物の位置や距離の推定について,バーチャルリアリティ空間と現実空間・2Dディスプレイとの比較を行った。その結果,現実空間と2Dディスプレイにおける距離の推定は類似していたが,バーチャルリアリティ空間では過小評価がおこることが明らかになった。また,他者が気にならない距離に関する心理測定も実施し,バーチャルリアリティ空間では,他者が気にならない距離も現実空間や2Dディスプレイに比べて短いことが示された。第3に,バーチャルリアリティ空間における対話シミュレーションとして人事面接シミュレーションと英会話シミュレーションシステムを開発した。人事面接シミュレーションシステムでは,現実とほぼ同等の緊張感が得られることを確認した。また,英会話シミュレーションシステムは,バーチャルリアリティ空間でトレーニングを積むことで英語使用に関する自己効力感が向上することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り,スピーチをシミュレーションするバーチャルリアリティシステムとバーチャルリアリティ空間における距離推定の実証実験を行い,コミュニケーションにおける聞き手の行動や他社との距離感に関する示唆が得られた。これに加えて,バーチャルリアリティ空間で人事面接と英会話のシミュレーションを行うシステムも開発し,バーチャルリアリティ空間におけるトレーニングの有用性を確認することができたため,計画以上の進捗を行えたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に開発したスピーチシミュレーションシステムにおいて,聴衆の行動をポジティブなもの(頷く,参加者をよく見るなど)とネガティブなもの(時計を見る,腕を組む)などを参加者の行動とは別に統制した上で,聴衆の行動が参加者の発話に及ぼす影響を検討する。また,前年度に行ったバーチャルリアリティ空間における事物の距離推定を対話相手を対象にした場合で再度検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
バーチャルリアリティ環境における視線計測を実現するため,ヘッドマウントディスプレイ搭載型の視線計測装置を購入し,実証実験を行う予定である。
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