2018 年度実施状況報告書

固体発酵法を用いた非食用バイオマス資源の有効活用技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号	17KT0151
研究機関	国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
研究代表者	堀田光生国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, ユニット長 (10355729)
研究期間 (年度)	2017-07-18 – 2020-03-31
キーワード	固体発酵 / バイオマス
研究実績の概要	飼料用イネ、ムギ、トウモロコシ、ソルガム等飼料作物、イタリアンライグラス、トールフェスク等牧草類、キャッサバ、バガス等の植物残さなど、各種植物バイオマス地上部の乾燥粉末を調製し、これらにバイオマス分解酵素（セルラーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼ等）および発酵微生物（乳酸菌、酵母等）を加えて、固体発酵に適した条件（水分含量60%、28℃前後）で糖化・発酵試験を行い、乳酸、エタノール等の生成量や変換効率および残存する可溶性糖類（グルコース、フルクトース等）の量を調査した。その結果、バイオマスの種類により乳酸、エタノールの生成量や変換効率および残存糖類に違いがみられた。酵母を用いたエタノール発酵試験では、従来用いられてきた飼料作物（飼料用イネ、ムギ、トウモロコシ等）に加え、イタリアンライグラスやキャッサバ等のバイオマスで、エタノールが比較的高濃度（66～149mg/ml）で生産された。また、これらは分解酵素の添加量も、従来の飼料作物より少ない量で、しかも10日程度の比較的短期間で糖化、発酵が進んでおり、固体発酵用のバイオマス資源として有望であると考えられた。乳酸菌を用いた発酵試験では、いずれのバイオマスを用いた場合も、一定量以上のL-乳酸が生産されたが、エタノールの場合に比べ変換効率が低く、発酵を促進させるための更なる条件検討が必要と考えられた。また、これらバイオマスと小型サイロを用いた発酵試験についての条件検討を進めた。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 3: やや遅れている理由 2018年度は、各種バイオマスに分解酵素、および発酵微生物（酵母、乳酸菌等）を用いて実験室レベルで固体発酵試験を行い、エタノール生産性等を指標に、各バイオマスの変換効率を調査するとともに、固体発酵中の微生物相の変化について調査することを目標としてきた。しかし、発酵微生物の調製や発酵条件の検討に多くの時間を要し、試験の一部を次年度以降に延期したため。
今後の研究の推進方策	2019年度は、各種バイオマスに分解酵素および各種有用物質生産能を有する発酵微生物を用いて実験室レベルで固体発酵試験を行う。また、固体発酵試験中の微生物相やその菌量の変化について調査し、有用物質生産量との関係を調査し、固体発酵に最適な条件を明らかにする。また、得られた条件を基にスケールアップして固体発酵試験を行い、有用物質の生産性や発酵残渣の飼料価値を評価する。
次年度使用額が生じた理由	（理由） 2018年度実験に用いる発酵微生物の調達や発酵条件の設定に予想より時間を要したことにより、実験計画の遅れを完全に取り戻せず、試験の一部を2019年度に延期することにしたため。（使用計画）次年度（2019年度）は、2018年度に予定していた実験を速やかに進めて試験計画の遅れを取り戻すとともに、2019年度に予定している試験もできるだけ早く遂行することにしており、そのため、繰り越し分と合わせた予算を使用する予定である。