研究課題/領域番号 |
18002002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
グン 剣萍 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (20250417)
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研究分担者 |
角五 彰 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (10374224)
黒川 孝幸 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (40451439)
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キーワード | 高分子ゲル / ソフト&ウェットマテリアル / 軟・硬複合界面 / 生体材料 / バイオトライボロジー / 人工軟骨 / 軟骨の自然再生 / 再生医療 |
研究概要 |
○今年度の目標の一つはゲルに超構造を導入することである。重合性の界面活性剤分子DGIが水溶液中に二分子膜を形成し、二分子膜がさらにラメラ層を形成する。本研究はせん断応力を加えることにより、無秩序構造のPAAmゲルに巨視的に一次元配向される二分子膜からなるラメラ層を導入することに成功した。 ○この一次元配向超構造ゲルはラメラ層のBragg回折によって美しい構造色を示し、その色が応力や歪などの力学刺激によって変化する。さらに、このゲルは一次元膨潤、力学異方性、高強度、高靭性を示す。これらの優れた機能はいずれも従来の無秩序構造ゲルがないものであり、斬新である。 ○この一次元配向超構造を有するゲルの構造をX-線、TEM、偏光顕微鏡で調べ、構造と機能との関連を解析した。伸長または圧縮変形時、二分子膜間の距離が縮められ、ゲルの色がブルーシフトする。また、ゲルが大伸長変形された時に、疎水的な二分子膜構造が可逆的に破壊されるが、応力を取り除くと構造が回復するため、ゲルが高い耐疲労を示し、強靭となることが分かった。 ○これまでに、高強度DNゲルは電解質と中性高分子の組み合わせに限定され、様々な高分子を用いたDNゲルの創製が困難であった。今年度のもう一つの目標はDNゲルに生体高分子を複合化させることである。軟骨の細胞外マトリックス成分であるPGsと生体適応性を持つ高分子PDMAAmの組み合わせからなる高強度DNゲルの合成に成功した。このゲルはその力学物性だけではなく、その生化学的な物性もより軟骨に近いため、人工軟骨や軟骨の生体内再生の誘導基材としての応用展開が期待される。
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