核子は、内部自由度として「スピン」を持つが、核子スピンの起源がはっきりしていない。核子は、「クォーク」が結びついた複合粒子であり、このクォークもスピンを持つ。従来、核子スピンの起源は、クォークのスピンと考えられてきた。ところが、クォークスピンの寄与が小さいことが明らかになっている。本研究では、核子スピン構造の詳細を明らかにする。本年度の研究は、以下のように行った。 (1) ハドロンのスペクトロースコピー的研究 特殊なハドロン形態を調べる研究を行った(水素標的の運転を分担)。 (2) データの解析 重水素の未解析データを加え、統計精度を向上。平成19年の水素標的データで現れた低めの偏極度を補正するため、多角的な解析を行い、偏極度を決定。 (3) 偏極ドレル・ヤン測定の為の偏極標的の開発 偏極標的の準備を行った。性能向上を目指し、高分子サンプルにフリーラディカルをドープし、0.6Kの温度を実現し、偏極テストを遂行。 (4) 次年度の測定準備 水素標的用の炭素繊維強化プラツチック性真空容器の組み上げ、整備。
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