研究分担者 |
根本 祐一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10303174)
北澤 英明 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ビームセンター, 主席研究員 (00195257)
鈴木 博之 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ビームセンター, 主任研究員 (60354370)
金田 寛 新潟大学, 自然科学系, 特任教授 (30418131)
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研究概要 |
本研究では,独自に開発した極低温超音波計測法を駆使して,電荷揺らぎに由来する強相関量子相の研究を推進している。平成19年度には主要設備備品として導入したギガヘルツ仕様の超音波位相差計測装置の組み立て,Zn0圧電薄膜スパッタ装置の製膜条件の確立に成功した。スパッタ製膜したZn0圧電素子を用い,1.3GHz超音波の励起・検出を行い,高周波超音波の本格的実験を開始している。また,平成19年度には超伝導磁石を導入し,既設の3He冷凍機と組み合わせ,超音波計測システムとして実験を開始した。本研究では,次の3研究課題を設定している。 (1)希土類Pr化合物を取り上げ,非クラマース2重項の電気四極子揺らぎと伝導電子との結合による四極子近藤効果,四極子秩序を解明する。平成19年度には新しく育成されたPrMg_3単結晶の低温ソフト化の詳しい実験が進み,非クラマース2重項の近藤効果による遮蔽が観測されてきた。 カゴ状化合物ではカゴ中に充填された希土類イオンがオフセンター振動(局所振動)の熱活性ラットリングによる分散とトンネリンングによる弾性定数の低温ソフト化を研究し,オフセンター振動の電荷揺らぎと伝導電子との結合による多チャンネル近藤効果や超伝導など量子相を解明する。平成19年度にはLaOs_4Sb_<12>の超音波分散と低温ソフト化の詳しい実験が進み,ラットリングが普遍的であることが明らかとなってきた。 (3)超音波計測によりシリコン結晶中の原子空孔に起因した弾性定数の低温ソフト化を観測し,原子空孔と価電子との結合がもたらす電荷状態を解明し,シリコンウエーハの原子空孔濃度評価技術の基礎物性を確立する。平成19年度には,シリコンウエーハ原子空孔評価に必要なギガヘルツ超音波利用の技術開発に主要な努力が払われ,装置整備が完了し,ボロンドープおよびリンドープシリコンの電荷状態の研究が始まった。
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