研究課題
1.脳と行動の雄性化因子Fruitlessタンパク質の作用機序の解明発生途上の複眼原基にGMR-Gal4を用いてUAS-fru^+を強制発現し、粗眼を生じさせてこの形質を修飾する遺伝子を探索した。このスクリーニングによって得られたfruitless (fru)修飾遺伝子候補にさらなる検討を加え、Trf2 (TATA-box-binding protein-related factor 2)とbon (bonus)の二つが、最も顕著な作用を有することを明らかにした。Trf2はその正常型遺伝子を過剰発現させた時、Fruによる粗眼形質を抑圧し、bonはその機能喪失変異によって粗眼を抑圧することから、それぞれ、Fruitlessの負と正の調節因子と推定された。Bonについてはさらに研究を進め、FruとBonがin vivoで複合体を形成することをCo-IP法によって示した。また、同法によって、Bonがクロマチン制御因子であるRpd3及びHeterochromatin protein 1 (HP1)と複合体を作ることをも示した。Bonが染色体のFru標的部位にRpd3あるいはHP1を動員し、転写を正と負の両方向に制御する可能性が示唆された。2.性行動制御に関わる神経回路の解明MARCM (Mosaic Analysis with Repressive Cell Marker)法を用いて雌の脳の一部にtransformer (tra)-ホモ接合の細胞を作り出し、これらの細胞のみを雄に性転換させた。そうした"脳の性モザイク"個体が正常な雌に対して求愛(雄の行動)するか否かを観察し、求愛行動をとったものととらなかったものの2群に分類した上で、求愛行動をとったモザイク個体に共通のtra-細胞が存在する可能性を探った。その結果、脳背側の雄特異的fru発現ニューロン集団である14Sbの雄化が、求愛行動の誘導と強い相関を示すことが明らかとなった。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
Arch. Insect Biochem. Physiol. 64巻
ページ: 157-163
Nature Neuroscience 10巻・2号
ページ: 153-160
バイオニクス 28号
ページ: 40-43
J. Comp. Physiol. A Neuroethol. Sens. Neural. Physiol. 193巻
ページ: 279-283
蛋白質 核酸 酵素 51巻
ページ: 446-451
化学と生物 44巻
ページ: 357-359