研究課題
1.脳と行動の雄化に関わるfru遺伝子ネットワークの解明パートナータンパク質の同定fruの機能低下変異体雄においてEcR(エクダイソン受容体)の働きをRNAiにより抑制すると、性的二型を示すmALニューロンの雄特異的な同側神経突起が失われ、部分的に雌化されることが明らかになった。しかし、反対側突起には変化は生じなかった。一方fruの機能低下変異体雄においてlola(longitudinal lacking)の働きをRNAiにより抑制すると、mALニューロンの反対側突起先端部の形状が、雌様の分枝パターンを呈し、部分的な雌化が認められた。しかし、同側突起には変化がなかった。このことから同側突起と反対側突起の性差が、独立の機構によって形成されると推察された。標的遣伝子の同定Hb遺伝子の転写物をRT-PCRによって検出したところ、fru突然変異体では雄特異的に発現量が低下していることが判明した。表現型レベルでHbがfruと相互作用を示すことを考慮すると、Hbがfruの下流で働く可能性が示唆される。II.雄の性指向性を支配するニューロン群の同定fru発現ニューロン全てに高温感受性dTrpAlチャンネルを発現させ、高温シフト刺激を与えたところ、一頭単独で実験容器に入れられた雄が、雌のいない状態で典型的な求愛行動を示した。そこで、MARCM法を適用し、少数のfru発現ニューロン群にのみdTrpAlを発現させて同様の実験を行ったところ、求愛行動の一部を示す個体が得られた。これらの個体について、行動アッセイ後に脳を取り出し、dTrpAlを発現していたニューロンを同定した。その結果、雄特異的P1介在ニューロンにdTrpAlを発現していた個体が、有意に高い割合で求愛行動を示すことが明らかとなり、P1が雄の性行動のトリガーニューロンとして機能することが立証された。
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Arch.Insect.Biolchem.Physiol. 73
ページ: 119-127
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