研究概要 |
1)新しいモーター分子の構造と機能の分子細胞生物学的解析:KIF16B、KIF19Aの全長配列を決定した。KIF16B、KIFC2について抗体を作製しそのカーゴを同定した。KIF16BはFGF受容体2を含む小胞をゴルジ装置から細胞周辺部に輸送する事を明らかにした(Ueno et al.Dev.Cell 2011)。 2)モーター分子によるCargoの認識・結合及び制御機構:KIF16BはRab14を介してカーゴを認識しGTPの加水分解によりGDP Rab14との結合を乖離する(Ueno et al.Dev Cell 2011) 3)モーター分子による輸送の振り分け機構:KIF5モーター領域が軸索に多いGTP微小管により親和性をもち、軸索方向輸送を決定する事を解明した(Nakata et al. Submitted)。 4)モーター分子の機能の分子遺伝学的解析:KIF13A, KIF13B, KIF16B, KIF17, KIF19AのKOマウスを作製した。KIF16B KOマウスを解析し、KIF16Bが初期胚でFGFR2/Rab14をゴルジ装置から形質膜を供給し三胚葉分化に基本的な役割を果たしている事、又KIF17 KOマウスを解析しKIF17は神経樹状突起でNMDA型グルタミン酸受容体を輸送し、記憶学習を制御しNR2Bを転写レベルで、NR2Aをユビキチンシステムを介して制御している事を解明した(Ueno et al. Dev. Cell 2011 ; Yin et al. Neuron 2011)。 5)モーター分子によるmRNAの輸送機構の解明:KIF5がPurαを介してmRNA複合体と結合し輸送する事を明らかにした。 6)モーター分子の構造生物学的解析:KIF5尾部、軽鎖、KIF3・KAP3の構造解析をすすめている。モノマー型KIF1AのATP加水分解のほとんどの過程構造を解き、それを基に作動機構を解明した。(Hirokawa et al. Nature Rev Mol Cell Biol 2009)
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