研究概要 |
分子時計に関し、以下の知見を得た。 1)新規時計遺伝子mPER2に結合する蛋白質の同定 Tet-OFFで誘導されるFlag-mPer2が発現するリズムのある細胞株に血清刺激でリズムを起こし、抗Flag抗体カラムで物質を回収して得られた150KDaの蛋白質をMS/MS法にて検定し、Flightlessと同定した。結合実験、時計遺伝子の転写制御能、Chromatin immunoprecipitation (ChIP)アッセイにより、新しい時計遺伝子と検定した。この物質は生体時計の中枢である視交叉上核に強く発現しており、この物質のノックダウンでリズム周期が変動することを明らかにした。また、Smith-Magenis症候群の重要な候補遺伝子であることを示した。さらに、現在、このバンド以外の100kDa,80kDaの新規転写因子を同定した。この転写修飾因子は時計遺伝子転写へ作用することが想定される。 2)G蛋白を介する細胞内シグナル伝達系と時計 視交叉上核に大量に発現しているRGCの一種を同定し、ノックアウトマウスで確認しその機能がMAP kinaseを介してリズムを制御することを明らかにした。 3)視交叉上核の数理解析 数理解析の結果、背内側部に24時間の最も主要なオッシレ一夕ーは背内側の細胞群の内にあり、背内側から腹側へのリズム伝達を確認した。 4)視交叉上核による呼吸器系の時間制御システムの解明 呼吸器系には時計遺伝子のリズムがあり、迷走神経切断でと時計遺伝子の変動が消失し、粘液放出の減退が認められることを明らかにした。また、呼吸器系のアセチルコリン受容体のM2,M3,M4が著明なサーカディアンリズムを引き起こした。
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