研究課題/領域番号 |
18011001
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺沢 宏明 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (10300956)
|
研究分担者 |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授 (70196476)
|
キーワード | 紫外線損傷DNA / 光修復酵素 / CPD / CPD-photolyase / (6-4)photolyase / NMR / 高熱菌 / 第二補酵素 |
研究概要 |
生体に紫外線を照射すると、細胞内のDNAが損傷を受ける。損傷塩基は複製・転写時に変異を誘発し、細胞死やがん化の原因になる。生体には光を用いて紫外線損傷DNAを修復する酵素が存在する。その修復機構を解明し、修復効率を飛躍的に高めることが出来れば、損傷DNA治療によるがん化の予防という実用的な応用も可能となる。本研究は、代表的な紫外線損傷DNAであるシクロブタンピリミジンダイマー(CPD)の光修復酵素であるCPD-photolyaseによる認識・修復機構を原子レベルで解明し、さらに、高い修復効率を有する分子を創製すること、および、もう1つの代表的な光損傷DNAである(6-4)photoproductとその修復酵素である(6-4)photolyaseについても、認識・修復機構を明らかにすることを目的とする。2つの修復酵素を併用することにより、がん化の予防効果も相乗的に高まると考えられる。 アフリカツメガエル由来(6-4)photolyase-(6-4)photoproduct複合体について、NMR解析を行った。複合体の反応部位を原子レベルで解析するため、反応部位に存在する原子のNMRグナルの検出および帰属を行った。(i):(6-4)photoproductについて、^<13>C標識した(6-4)photoproductを含むDNAを調製した。(6-4)photolyaseとの複合体を形成し、^1H-^<13>C HSQCスペクトルを測定して、複合体中の損傷部位に由来するNMRシグナルを観測した。次に、^1H-^<13>C HSQC-NOESYスペクトルにより、複合体中の(6-4)photoproductにおける塩基のメチル基に由来するシグナルを帰属した。(ii):トリプトファンを選択的に^<15>N標識した(6-4)photolyaseを調製し、複合体の^1H-^<15>N HSQCスペクトルを測定して、トリプトファン側鎖由来のシグナルを観測した。さらに、反応部位に複数存在すると考えられるトリプトファン残基のアラニン変異体のスペクトルを測定し、野生型と比較することで、これらのトリプトファン残基由来のシグナルを帰属した。現在、(6-4)photoproductにおけるメチル基および帰属したトリプトファン残基由来のNMRシグナルを用いて、修復機構の解析を進めている。
|