消化管粘膜上皮特異的にephrin-A1を過剰発現するトランスジェニックマウスを作製し、Apc^<min/+>マウスと交配して腫瘍の病理学的解析を行ない、Apc^<min/+>マウスに発生する大腸腺腫にephrin-A1の過剰発現が加わると浸潤性腫瘍の発生が著しく亢進することを明らかにした(Shi L et al.Oncogene In press)。また、TMEPAIノックアウトマウスを作製し、Apc^<min/+>マウスとの交配を行なったが、129(ES細胞)由来の遺伝子の混入によりApc^<min/+>マウスに発生する腫瘍数が大きく減少した。そこで、TMEPAIノックアウトマウスのB6バックグラウンドへの戻し交配を行なうとともに、免疫不全マウスを用いた移植腫瘍の形成におけるTMEPAIノックダウンの影響についても検討することを追加計画し実施している。さらにTMEPAIの作用機序にっいての解析を進めるとともに(論文投稿中)、TMEPAI遺伝子の発現制御領域の解析を行ない、TMEPAIはTCF4を介するWntシグナルとSmad3を介するTGF-βシグナルの協調作用によって発現が充進する遺伝子であることを見いだした(投稿準備中)。また、TMEPAI結合タンパク質の網羅的解析を行ない、TMEPAIの新たな標的分子も見いだしている。 TGF-β1を消化管粘膜上皮に過剰発現するマウスを新たに作製した。また、Smad4^<f1/f1>マウスとMx-Creマウスを交配しpoly I:Cを投与して誘導的なSmad4のコンデショナルノックアウトを行ない、組織幹細胞を観察する方法を検討しながら、消化管粘膜上皮の幹細胞の動態に及ぼす作用を調べている。
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