研究課題
癌におけるDNAメチル化をはじめとするエピジェネティクな変化は癌化において重要な役割をしている。我々は、自ら開発したマイクロアレイを用いた網羅的メチル化解析法であるMIAMI法(http://grc.dept.med.gunma-u.ac.jp/~gene/)を用いてゲノムワイドにメチル化の変化を解析した。この方法ではメチル化感受性酵素(Hpa II)による切れ方の差だけではなく、同じ認識部位を切断するメチル化非感受性酵素(Msp I)による切れ方の差を検出し、その両者を比較してメチル化に起因するサンプル間の差とする。このようにすることにより、メチル化に起因する制限酵素認識部位の切れ方の差を、サンプル間の制限酵素認識部位の多型や、DNA品質の違いなどよる制限酵素による切れ方の差を区別することができる。我々はこの方法を用いて肺癌における遺伝子のメチル化のプロファイリングをおこない、癌でメチル化よりむしろ脱メチル化が多くおこっていることをみいだした。しかしながら転写開始点からの距離により変化の割合をみたところ、脱メチル化は比較的まんべんなくあらゆる位置に存在するのに対し、メチル化は転写開始点近傍に濃縮していることがわかった。つまり脱メチル化がゲノム全般的に起こっているのに対し、メチル化は転写開始点近傍に多いことがわかる。次にCpG量について解析したところメチル化、脱メチル化されている配列ともに有意にCpG量が低く、特に脱メチル化されているものが低いことがわかった。ところがその分布をみたところメチル化されているものはCpG量が高いものがある程度存在するのに対し、脱メチル化されているものではCpG量が高いものはあまりみられなかった。このことはメチル化が転写開始点近傍で多かったことを反映していると考えられる。また癌においてRNAi機構とDNAメチル化との関連性を検討するためプロモーター配列におけるmiRNAのターゲットの頻度解析をおこなったところ有意にmiRNAのターゲット配列が濃縮されており、RNAi機構とDNAメチル化との関連性が示唆された。
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