研究概要 |
新規分子であるRB1CC1の機能を明らかにすることによって、本経路の破綻より生じる発がんの機構を理解することを目的として研究を行っている。これまでにRB1CC1結合分子として、TSC1,GADD34,hSNF5,Smad7等を同定していたが、本年度は特にhSNF5との関わりについて解析した。 RB1CC1はクロマチンリモデリングファクターの一つであるhSNF5/INI1と複合体を形成するが、RB1CC1-hSNF5complexはp53とも更に複合体を形成し、p53を安定化する。そしてp21発現が促され、細胞増殖抑制が起こることが解った。つまり、RB1CC1,hSNF5,p53のtriple complexが形成されることによって、p53→p21→RB1の経路が増強されるのである。これらcomplexはp16の発現増強も来すが、この機構はp16のpromoter部位、更にInk4/ARF locusのregulatory domain(RD)に、転写調節因子複合体が、RB1CC1Iを介しリクルートされることにより起こっていることが明らかとなった。RB1CC1はp53やhSNF5らと転写調節因子複合体を形成し、p21,p16の両経路から総合的にRB経路を増強するようである。 CAG-loxP-neo-loxP-FlagRB1CC1を導入したマウスの解析においては、全身性のRB1CC1高発現マウスの他、肝特異的、骨、軟骨特異的マウスを得てきているので、これらマウスの解析を進めることによって、RB1CC1の生体内における機能を明らかにしたい。 また、RB1CC1 conditional knock-out mouseについては、これを樹立したMichigan大学のグループよりマウスの分与を受け、共同で研究を進めてゆく計画である。
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