研究課題/領域番号 |
18012033
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
押村 光雄 鳥取大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20111619)
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研究分担者 |
平塚 正治 鳥取大学, 医学部, 助手 (00362872)
井上 敏昭 鳥取大学, 医学部, 助教授 (80305573)
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キーワード | SIRT2 / M期チェックポイント / 染色体異数性 / 染色体不安定性 |
研究概要 |
我々は異数性を特徴とするグリオーマのプロテオーム解析から、SIRT2(チューブリン脱アセチル化酵素)が発現低下することを見いだした。SIRT2はがんで頻繁に欠失がおこる領域に存在し、またファミリータンパクSIRT1が癌や細胞老化を司ることから、SIRT2が新規がん抑制遺伝子の候補と考え研究を進めてきた。本研究により、SIRT2は微小管動態の異常をモニターし、異常時には染色体凝縮開始を停止する機能を持つ染色体凝縮チェックポイントタンパク質であり、染色体倍数化を抑制することを見つけ、siRNAを用いたノックダウン実験によってもこれを支持する結果を得た。染色体倍数化、その後に起こる異数化が発がんの初期に起こり、これがさらなる染色体変異、遺伝子変異を誘発するという仮説(染色体不安定説)が再び着目されているが、上記の結果はそれを支持しその分子基盤の一端を示すものである。実際の発生時にこのような機能を果たしているかどうか探るためSIRT2発現が高くなることが分かっている発生時のbrainに着目し、これをin vitroで培養する系を立ち上げ、内在のSIRT2をノックダウンするsiRNA発現レンチウイルスベクターも構築した。 さらに染色体不安定説を別の角度から検証するため、様々な染色体異数性のES細胞を作製し、それらを用いたin vitroにおける神経分化誘導時に様々な染色体についての異数性細胞で共通して発現が変化するものをマイクロアレイで探った。その結果、神経分化誘導時の異数化細胞で共通して発現が低下する遺伝子群の存在が明らかになった。その中には発がん抑制に関わる期待される遺伝子も含まれており、このことは異数化を関知して、おそらくはエピジェネティックな変化により発現が変動する遺伝子群があることを示唆しており、染色体不安定説を支持するものである。
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