研究課題
1.Rad18ノックアウトマウスの発癌に関する研究。Rad18欠損マウスは老化に伴い、精巣を構成する生殖細胞が欠落することが判明した。RAD18遺伝子の欠損により、染色体の微小な欠失・転座がおこり、そのため主に幹細胞が特異的に除去されている可能性を検証するため、SKY-FISHおよびaCGHを行っている。マウスの皮膚に4カ月にわたり紫外線照射を行い、皮膚癌の発生の有無を検討したが、色素性乾皮症モデルマウスでみられるような典型的な皮膚癌の形成はみられず、さらに検討を重ねている。Rad18欠損による遺伝子の不安定性に注目し、p53遺伝子ヘテロマウスとかけ合わせたマウスの発癌をみてゆく。Rad18欠損マウスに6Gyの放射線を照射すると、1年以内に約半数が致死に至ることがわかった。これは発癌によるものではなく、Rad18がクラススイッチ等に関与しており、免疫能の低下が原因である可能性が高い。2.Rad18タンパクによるDNA損傷の認識および損傷乗り越え複製酵素ηの誘導機構の解明。損傷を乗り越えて複製する能力をもつ複製酵素であるηは、複製の正確度が低いため、厳密に制御されている。我々は、RAD18タンパクがチミンダイマーを含む2本鎖DNAおよびフォーク型DNAに、特異的に結合することを見つけた。Rad18タンパクのSAPドメインが、これらのDNA構造の認識に関与している。RAD18欠失細胞に、SAPドメイン欠失RAD18タンパクを発現させても、DNA損傷に応答しておこるRAD18およびηの核内局在変化がみられず、UV感受性を回復させる能力も失っていた。このため、RAD18は損傷部位のセンサーとして、損傷部位および複製停止部位に結合し、損傷乗り越え複製酵素ηの細胞内局在を制御していると結論した。
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