研究課題
私たちは、mtDNA変異がアポトーシスを抑制し、結果的にがん増殖を促進することを示した(Cancer Res 2005 65;1655,Oncogene 2006:25;4768)。(1)前がん段階におけるmtDNAの変異前がん段階においてmtDNA変異が重要な役割をはたすことを予測して、79人の白板症(Oral leukoplakia)患者の組織のmtDNAの全塩基配列を決定した。同時にアポトーシスの頻度をTUNEL染色によって判定した。(a)no mutation、(b)non-sense mutation、(c)異種生物間で相同性が保たれていない部位の変異、(d)異種生物問で相同性が保たれている部位の変異の4つに分類した。(a)+(b)+(c)と(d)のアポトーシス頻度を比較すると(d)では有意にアポトーシス頻度が低下していた(p<0.0001)。(d)の変異はミトコンドリア機能を変化させると判断できるので、ミトコンドリア機能の変化によってアポトーシスが抑制されることが強く示唆された。(2)mtDNA変異による培養細胞のシスプラチン耐性獲得培養細胞においてmtDNA変異によってアポトーシス耐性機構を獲得できるかどうかを調べた。シスプラチン処理してシスプラチン耐性の細胞を分離し、ミトコンドリア活性が低下している20クローンのmtDNAの全塩基配列を決定した。100クローンの内、70クローンには同じD-ループの一塩基挿入が認められた。このmtDNAに変異をもつ細胞において、シスプラチン耐性を獲得したのは、mtDNA変異によるものか、核遺伝子の変異によるものか確認するために、再度シスプラチン処理以前の核と交換した。核を交換した細胞でも、再びシスプラチン耐性(アポトーシス耐性)であったので、mtDNAのD-ループの一塩基挿入によって、アポトーシス耐性を獲得したと結論した。
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