研究課題/領域番号 |
18012047
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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研究分担者 |
稗島 州邦雄 近畿大学, 医学部, 講師 (10322570)
中山 隆志 近畿大学, 医学部, 講師 (60319663)
長久保 大輔 近畿大学, 医学部, 助手 (10368293)
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キーワード | ATL / 白血病 / CCR4 / ケモカイン受容体 / 転写因子 / 原がん遺伝子 / Th2細胞 / 制御性T細胞 |
研究概要 |
我々は、成人T細胞白血病(ATL)ではケモカイン受容体CCR4が高頻度かっ強陽性で発現していること、CCR4発現はATLの皮膚浸潤をよく説明し、ATLの起源がTh2あるいは制御性T細胞である可能性を示唆することを報告した(Blood,2002)。CCR4の高頻度かつ高レベル発現はATLの発がん機構と転写レベルで密接に関係している可能性がある。そこで本研究では、ATLでのCCR4発現に関わる転写因子を明らかにし、それらのATL発がんへの関与を明らかにする。まずATL細胞でのCCR4転写はエクソン1の上流と第1イントロンの2領域で開始され、それぞれ第1プロモーターと第2プロモーターと命名した。そこでこれらのプロモーター領域をルシフェレースレポーターにクローニングし、レポーターアッセイを行った。その結果、これらのプロモーターはATL細胞で強い転写活性を示した。そこで、それぞれのプロモーターを5'側から削っていって発現に必要な領域を絞り込んだ。そして必要領域に存在する候補エレメントに点変異を導入し、エレメントを同定した。その結果、第1プロモーターおよび第2プロモーターともにTh2分化に関わるGATA-3の認識配列が重要であることを見出したが、それ以外にもAP-1とC/EBPαが重要であることが明らかになった。特に、AP-1はホモあるいはヘテロダイマーよりなる転写因子で、細胞増殖や発がんと密接に関係する。そこでCCR4のAP-1サイトに結合するメンバーを解析した。その結果、Fra-2とJunDが選択的に結合し、転写活性を上げることを見出した。さらにATL臨床検体でもFra-2とJunDが構成的に発現していた。またFra-2とJunDをsiRNAでノックダウンするとCCR4発現だけでなく、細胞増殖も抑制された。現在、Fra-2とJunDのATL発がんにおける役割をさらに解析している。
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