白血病幹細胞の自己複製メカニズムを解析するために、白血病幹細胞の自己複製の維持に必須な分子群、Bmilと恒常的活性化型STAT5を純化した造血幹細胞にレトロウイルスを用いて遺伝子導入し、DNAマイクロアレイを用いてBmilと活性化したSTAT5によって制御される遺伝子群をプロファイリングした。白血病幹細胞の自己複製能増強に重要である候補遺伝子、あるいは白血病幹細胞から分泌され、ニッチ細胞に作用すると考えられる候補遺伝子をリストアップした。これらの遺伝子について、レトロウイルスやレンチウイルスによる強制発現系やRNAiノックダウン法と純化した造血幹細胞および前駆細胞を用い、in vitroおよび移植マウスにおけるin vivoの機能解析を行う予定である。 さらにBmil遺伝子欠損マウス、およびSTAT5コンディショナル遺伝子欠損マウス(TNAP-Cre; STAT5^<flox/flox>)を準備した。造血幹細胞および前駆細胞を純化し、造血幹細胞にBCR-ABLを、前駆細胞にMLL-AF9を遺伝子導入し、骨髄移植を行い、移植マウスにおける白血病の発症をモニタリングする。この解析により、正常造血幹細胞で機能する自己複製分子(Bmil、STAT5など)への依存性が造血幹細胞をターゲットとする白血病と前駆細胞をターゲットとする白血病で同様か否かを検証する予定である。
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