研究課題
血管新生促進因子であるVEGFやthrombin刺激によって、Cn-NFATc経路が活性化され、また早期にそのfeedback因子であるダウン症候群関連因子(DSCR)-1が誘導されることを見出し報告したが、本年はこの因子の発現をマウスレベルでさらに探索するために、位置特異的(Hprt-locus)DSCR-1 promoter-lacZ knock-inマウスの樹立及びLPS, VEGF投与での包括的in vivo発現解析を行った。その結果〜未刺激マウスでは脳(一部の血管、神経)、心臓(心筋、大血管)にDSCR-1発現が認められたが、LPS投与により、大動脈内皮及び平滑筋、肺毛細血管、脳血管内皮、腎臓糸球体内皮に著明な誘導が、VEGF投与により大動脈内皮、脳血管内皮及び神経、肺毛細血管内皮に大きな誘導が生じることが明らかとなった。一方、肝臓、脾臓、骨格筋では全く発現が見いだされなかった。またB16 melanoma, LLCでのxenograftを行った場合、腫瘍内血管、リンパ管内皮にDSCR-1の発現誘導が顕著に認められた。このことから、DSCR-1発現は特に内皮細胞に強く認められ、かつ各臓器微小環境に呼応するheterogeneityを有することが明らかとなった。マウス内でのDSCR-1発現はNFATcに依存しており、CsAを腹腔内投与することで消失し、Xenograft modelでは腫瘍の進展が大きく抑制される結果が得られた。さらに内皮DscR-1発現は転写因子GATAにも依存しており、siRNA導入によってDSCR-1発現が減少することが見いだされた。さらに我々は内皮活性化の初期段階では必ずEgr-3の誘起が生じることを見いだし、本因子の発現が転写因子sRF, NFATcによって行われていること、siRNA導入により、VEGF存在下でのmigration, tube formationが抑制されること、ex vivo (aortic ring assay)条件でもVEGF依存的管腔形成が消失することが明らかとなった。
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Lympatic Research and Biology (In press)(印刷中)
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