研究概要 |
本研究は、我々の系統的血管内皮細胞分化誘導システムを用いて、動静脈リンパ管内皮細胞分化機構を明らかにし、腫瘍血管リンパ管に対する新しい治療戦略開発することを目的とする。本年度は、年度研究計画に従い以下の研究を行った。1)動静脈内皮細胞分化と純化:アドレノメデュリン及びサイクリックAMPが、内皮細胞においてNotchシグナルを活性化するとともに動脈内皮分化を促進することを明らかにした。またCXCR4が新たな動脈内皮マーカーであることを見出し、抗CXCR4抗体を用いたFACSにより誘導動脈内皮細胞の純化に成功した(Yurugi-Kobayashi, Arterioscler Thromb Vasc Biol, 2006)。2)リンパ管内皮分化誘導法の開発と純化:Flk1陽性細胞をOP9ストローマ細胞上で培養することにより、prox-1陽性リンパ管内皮細胞を分化誘導することに成功した(Kono, Arterioscler Thromb Vasc Biol, 2006)。これらの成果により、血管多様化機構を探索する新たな実験手法の樹立に成功した。3)内皮分化多様化過程における遺伝子プロファイル:1)2)で純化した種々の細胞群からRNAを抽出し、遺伝子プロファイルを作製した。4)siRNAを用いた機能阻害実験系の構築:内皮分化に必須であるFlk1遺伝子発現を抑制することにより、内皮細胞分化を阻害することに成功した(Hiraoka-Kanie, Biochem Biophys Res Commun, 2006)。ES細胞の分化途上の任意の段階で分化遺伝子の機能を解析することが可能となった。5)内皮細胞多様化メカニズムの解明:4)のシステムを用いて、3)で同定した遺伝子群について機能解析を進めている。5)ヒトES細胞を用いた血管多様化機構の解析:ヒトES細胞を用いた動静脈リンパ管内皮分化誘導系の構築を進めている。
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