研究課題/領域番号 |
18013031
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 敏一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00049397)
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研究分担者 |
松本 邦夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90201780)
水野 信哉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10219644)
町出 充 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90346198)
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キーワード | HGF / c-Met / 浸潤・転移 / 分子機構 / NK4 / がん間質 / チロシンキナーゼ / 制ガン治療 |
研究概要 |
平成18年度において以下の成果を得た。 1)HGFアンタゴニストであるNK4を用いて、がん問質ストローマで産生されるHGFの癌浸潤・転移における機能を解析した。食道癌の移植マウスモデルにおいてNK4遺伝子治療は癌細胞でのc-Metチロシンりん酸化を阻害するとともに、癌浸潤を強力に抑制した。この事から、癌間質由来のHGFが『パラクリン因子』として食道癌悪性化を駆動している働きを明らかにした。 2)HGFアンタゴニストNK4が癌間質での血管新生を阻害する事を明らかにして来た。本年度はNK4受容体を明らかにする過程でNK4が内皮の生存に必要な細胞外マトリックスの動員を阻害する効果を有する事を新たに突き止めた。 3)細胞の癌化は正常組織での細胞増殖制御の破綻を背景としているため、正常細胞における増殖停止機構の解明は重要な意義を持つ。本研究では、健常肝より調製した初代培養肝細胞を用いて、HGFの細胞増殖誘導作用が細胞接着を介して抑制される分子機構を解析し、細胞接着により発現誘導されるチロシンフォスファターゼによりHGF受容体/c-Metチロシンキナーゼの活性化が抑制されることを報告した(Machide-M et al.,J Biol Chem,2006)。 4)ヒト肺癌細胞を用いてc-Met juxtamembrane(JM)領域に存在する985番目セリン残基がリン酸化されているとHGFによるc-Met活性化が抑制されることを明らかにした。そこでその意義を生体レベルで明らかにすべくc-Met JMノックアウトマウスを作成するとともに、発生期でのフェノタイプを解析中である。
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