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2006 年度 実績報告書

マップキナーゼ経路の新規制御因子・阻害薬の分子遺伝学的スクリーニング

研究課題

研究課題/領域番号 18013032
研究機関神戸大学

研究代表者

久野 高義  神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50144564)

研究分担者 春藤 久人  神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (70206259)
キーワード抗がん薬 / ファルネシルトランスフェラーゼ / マップキナーゼ / Rho / Ras / 薬物スクリーニング / バルプロ酸 / 細胞内輸送
研究概要

1.抗がん薬の標的分子であるファルネシルトランスフェラーゼ(FT)活性の部分的低下は,下流のRho経路とRas経路に対して異なる影響を与えることを発見した:マップキナーゼ経路の新規制御因子を同定するために,分裂酵母モデル系を用いた遺伝学的スクリーニングを行った。その結果,FTをコードするcpp1^+遺伝子の変異体を単離した。この変異体では155番目のアミノ酸であるアスパラギン酸がアスパラギンに代わっており,その活性が部分的に低下していた。生化学的解析により,Rho2,Rho3,Ras1の3つの低分子量Gタンパク質がCpp1によりファルネシル化されることがわかったが,上記のD155N変異による活性の部分低下によって,Rho2/PKC/MAP kinase系の活性が著しく低下するのに比べて,Ras1の活性の低下は軽微であった。FT活性の部分低下がRho2経路とRas1経路に異なる影響を与えたことは,抗がん薬としてFT阻害薬を用いた場合に経路選択的な効果が期待されることを示唆している。
上記と同様のスクリーニング系を用いて企業との共同研究によりマップキナーゼに対して抑制的に働く薬物を探索中である。2つの薬物を同定し,1つは新規薬物でありその構造も決定した。現在は1つの薬物の有機合成と作用点決定およびもう1つの薬物の構造決定を行っている。
2.バルプロ酸(VPA)が細胞内輸送に影響を与えることを発見した:VPAは抗てんかん薬として古くから知られており,最近はがん化学療法の奏功性をあげることが報告されているが,そのメカニズムについては不明である。VPA感受性を示す変異体を単離し,その原因遺伝子を決定したところ細胞内輸送で重要な働きをするVps45をコードする遺伝子だった。さらに,様々な解析により,治療濃度に相当する低濃度のVPAが分泌などの細胞内輸送に影響を与えることを発見した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Valproic Acid Affects Membrane Trafficking and Cell Wall Integrity in Fission Yeast2007

    • 著者名/発表者名
      宮武 信
    • 雑誌名

      GENETICS (未定)

  • [雑誌論文] Rho2 is a Target of the Farnesyltransferase Cppl and Acts Upstream of Pmk1 MAP Kinase Signaling in Fission Yeast2006

    • 著者名/発表者名
      馬 艶
    • 雑誌名

      Molecular Biology of the Cell 17・12

      ページ: 5028-5037

  • [雑誌論文] Genetic Evidence for Phospholipid-Mediated Regulation of the Rab GDP-Dissociation Inhibitor in Fission Yeast2006

    • 著者名/発表者名
      馬 艶
    • 雑誌名

      GENETICS 174・3

      ページ: 1259-1271

  • [雑誌論文] Real-Time Monitoring of Calcineurin Activity in Living Cells : Evidence for Two Distinct Ca^<2+>-Dependent Pathways in Fission Yeast2006

    • 著者名/発表者名
      Deng Lu
    • 雑誌名

      Molecular Biology of the Cell 17・11

      ページ: 4790-4800

  • [図書] Source Book of Models for Biomedical Research2007

    • 著者名/発表者名
      石渡俊二
    • 出版者
      THE HUMANA PRESS INC(未定)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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