研究課題/領域番号 |
18013036
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
瀧原 義宏 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
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研究分担者 |
大坪 素秋 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (10211799)
安永 晋一郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50336111)
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キーワード | ポリコーム遺伝子群 / 白血病幹細胞 / DNA複製ライセンス化 / Geminin / Cdt1 / 慢性骨髄性白血病 |
研究概要 |
ポリコーム遺伝子群(PcG)は発生過程において位置情報の維持を担う遺伝子群としてショウジョウバエの遺伝学的解析によって単離されたが、そのマウス相同遺伝子であるRae28を単離し。ノックアウトマウスを作製することによってPcGが高等哺乳動物においても高度に保存されていること、さらに幹細胞め活性を維持するために必須な役割を果たしていることを世界に先駆けて明らかにした。その後、ES細胞から造血幹細胞を含めた各種成体幹細胞、さらに白血病幹細胞にまでもPcGの働きが及んでいることがわかってきた。PcGは細胞老化を制御しているINK4a遺伝子座の転写を直接抑制することによって幹細胞の活性を維持していると考えられてきたが、その分子基盤にういては充分には明らかにされていない。そこで本研究では、PcGがどのような分子基盤で幹細胞機能を維持しているかについて細胞生物学的解析だけでなく、生化学的にも解析を進めた。PcG複合体1が構成因子のーつであるScmh1を介してDNA複製ライセンス化因子Cdt1の阻害因子Gemininと結合し、Gemininをユビキチン化するためのE3ユビキチンリガーゼを構成していることをin vivoだけでなく、複合体を昆虫細胞中で再構成して精製し、in vitroでも証明することに成功した。さらに、Geminin-Cdt1システムとその制御機構が幹細胞活性を支持するために重要な分子基盤を構成していることが明らかした。そして、ヒトの骨髄性白血病や骨髄異形成症候群における病期の進行や予後とPcGの発現が極めて良く相関することを見い出した。今後、各種悪性造血疾患や各種がんの進行や悪性化においてPcGがどのような役割を果たしているかについて、Geminin-Cdt1システムとの関わりに注目して解析を進める必要がある。
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