研究課題/領域番号 |
18014005
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉川 裕之 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (40158415)
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研究分担者 |
八杉 利治 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20251267)
高塚 直能 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00293556)
前田 平生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30134597)
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キーワード | HPV16 / HLA Class II / 変異体 / 発癌リスク / 地域差 / 子宮頸癌 / CIN |
研究概要 |
本年度は、HPV16 E6変異体とHLA class IIアリルの組合せと子宮頸部発癌リスクを検討した。なお、平成19年度は子宮頸癌200例での症例対照研究を開始し、他のHPV型についても検討する(IRB承認済)。 【目的】HPV16型にはE6領域の変異が知られ、prototype以外を変異体という。prototype・変異体の分布は地域差があり、地域によって発癌リスクの高い変異体が異なる。変異の多くはE6機能は不変で抗原性を変化させる。一方でHLA class IIアリルの発癌リスクにも地域差がある。E6抗原とHLA class IIが結合した複合体が細胞性免疫を誘導することに着目し、本邦での発癌リスクの高い変異体を明らかにし、さらにHLA class IIとの関連を調べ、両者の発癌リスク地域差の本質を探究した。【方法】HPV16陽性のCIN患者111名・子宮頸癌(ICC)患者56名を対象として、病変から検出されたHPV16のE6領域変異とHLA class IIアリルを調べた。HLAではコントロール138名を用いた。【成績】CINとICCの間で変異体の頻度を比較し、本邦で発癌リスクの高い変異体はD25E変異体(E6蛋白の25番目のアミノ酸がAspからGluに置換されるアジア型変異体)であることが判明した(Odd ratio 3.0、95%CI 1.2-7.2,P=0.01)。D25E変異体陽性のCINやICCの患者ではDRB1*1502アリルの頻度がコントロール(23%)と比べて有意に増加しており(33%および40%)、D25E変異体陽性CIN患者はDRB1*1502アリルを保有していると発癌リスクが2.0倍上昇していた。PrototypeではDRB1*1501アリルとの組合せで有意な発癌リスクの上昇がみられた。【結論】HPV16のE6領域変異とHLA class IIアリルの発癌リスクは単独で導かれるのではなく、組合せにより宿主免疫誘導に差が起こる結果として導かれる。これによりそれぞれの発癌リスクの地域差が説明できる。
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