研究課題/領域番号 |
18014017
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
清水 憲二 岡山大学, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10037286)
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研究分担者 |
大内田 守 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80213635)
松原 長秀 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70314672)
小出 典男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20142333)
堺 明子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60205698)
伊藤 佐智夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30335624)
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キーワード | 癌発症危険度 / 癌体質遺伝 / 遺伝的多型 / ミスセンス1塩基多型 / リスク遺伝子型重複 / 癌分子疫学 / がん予防 / 早期発見診断 |
研究概要 |
本研究は、日本人の肺癌、頭頸部癌、大腸癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌における「発がんのリスク関わる遺伝子多型」を広汎に検索したものである。これまでに計225遺伝子、約270 SNPを解析した結果、有意差をもって上記の癌の発癌リスクに関わるミスセンスSNPを42遺伝子で計47種発見した(高リスク:34種、保護的SNP:13種)。42遺伝子にはDNA修復遺伝子、癌抑制遺伝子、物質代謝遺伝子、染色体分配遺伝子、細胞接着遺伝子等が含まれる。これらのms-SNPの多くは複数種の癌に関係し、多いものでは約8割の癌種に影響していた。上記のうち38 SNPの発癌リスクとの相関は、本研究で初めて示されたものである。 特筆すべきことは、本研究では対照健常人(約450検体)、癌患者(約1,300検体)共にほぼ全てのSNPを解析し、それらの重複のデータを得たことである。上記のうち、99%信頼区間も有意であった20遺伝子の24 SNPについて、癌種毎に関係する4〜7 SNPの個人別重複を数値化したところ、高リズクSNP数から保護的SNP数を差し引いた数値が上位20%に属する個人の割合は健常人で約4〜20%、癌患者で20〜60%を占めた。統計学的には、肺癌、大腸癌、食道癌についてはいずれもP値が10^<-10>〜10^<-16>、その他の癌では10^<-5>〜10^<-6>を示し、高い信頼性を示した。これらのグループの集団内発癌寄与率(PAR)は平均50%を占め、遺伝的リスクの過半を説明できることが判明した。さらに、我々は日本人の癌の約7割を占める肺癌、頭頸部癌、大腸癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌の各々について、約75%の低リスク群、25%の高リスク群、0.5-1.5%の超高リスク群を分別できる系を構築した。今後この系を前向きコホート研究で実証できれば、癌の予防と早期発見に革新的進展が実現できると期待される。
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