研究概要 |
消化管癌(胃癌、食道癌、大腸癌)のSAGEライブラリーを作成し、癌特異的遺伝子を抽出し、標的治療を視野に入れた消化管癌の診断系を確立することを目的とし、本年度は以下の通り実施した。 (1)胃癌と正常臓器のSAGEライブラリーの比較により抽出した新規癌特異的遺伝子の機能解析と診断応用:冑癌と正常臓器のSAGEライブラリーの比較と定量的RT-PCR法により抽出した新規癌特異的発現遺伝子の内、REGIVについては、5-FUによるアポトーシスの抑制には、EGFRのリン酸化、caspase-9を介したcaspase-3の抑制が関与することを明らかにした。SPC18については、定量的RT-PCRにより有意にステージ・転移と相関すること、胃癌細胞株のSPC18強制発現系において細胞浸潤を促進することを確認した。癌特異的遺伝子DKK4に関連して解析したWNT-5aについては、その発現が胃癌の悪性度・予後と相関すること、細胞浸潤を促進することを確認した。他の遺伝子については順次recombinant蛋白の調整、モノクローナル抗体の作成を行っているが、血清診断への応用に関しては、ELISAによるREGIV、MMP-10の血清値の測定に加えて、新規に遺伝子Xの蛋白の測定系を確立した。また、SAGEで抽出した遺伝子を含む207遺伝子を搭載した診断用3次元オリゴDNAカスタムアレイを用いて、臨床検体を解析し、悪性度と関連する遺伝子群を同定した。 (2)食道癌および大腸癌と正常臓器のSAGEライブラリーの比較により抽出した新規癌特異的遺伝子の機能解析と診断応用:食道扁平上皮癌よりRNAを抽出し、約10000tagのシークエンスを施行した。正常食道組織のSAGEライブラリーの比較から、食道癌で発現が亢進している遺伝子として、NUTF2,RYBP, KIAA0540などを同定した。
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