消化管癌(胃癌、食道癌、大腸癌)のSAGEライブラリーを作成し、癌特異的遺伝子を抽出し、標的治療を視野に入れた消化管癌の診断系を確立することを目的とし、最終年度となる本年度は以下の通り実施した。 (1)消化管癌のSAGEデータ解析により抽出した新規癌特異的遺伝子の機能解析と診断応用 胃癌と正常臓器のSAGEライブラリーの比較と定量的RT-PCR法により抽出した新規癌特異的発現遣伝子の内、REGIVIこついては、胃癌のみならず大腸癌においても血清診断マーカーとして有用であり、特に肝転移例で高い陽性率を示した。GW112/OLFM4は、分化型腺癌に主に発現しており、胃型形質と関運していた。胃癌症例においてRBGIVとGW112の血清レベルに相関性はなく、両者の組合わせにより検出感度は50%以上になった。カスタムアレイにより抽出したSCPI8∠SECIIAの強制発現により、細胞増殖と浸潤、SCIDマウスにおける腫瘍増殖が促進された。SAGE法とGcmeChip法の比較から抽出されたPLUNCが、、胃のhepatoid adenocarcinomaの組織マーカーとなることを見いだした。 (2)消化管癌におけるmiRNAの網羅的発現解析 約250miRNAのプローゲを搭載したマイクロアレイを用い、胃癌と正常胃粘膜のmiRNAの発現を解析した。miR-21をはじめ約30のmiRNAが胃癌と正常とで有意に発現レベルが異なっており、さらに、組織型、深達度、転移の有無、.予後と有意な相関を示すmiRNAセットを見いだした。 本研究で得られたデータが基盤となり、SAGEで同定した遺伝子とmiRNA発現の面から、新しい癌診断システムが構築されていくものと期待される。
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