本年度は、各種がん疾患におけるG-tail長を調べるためのG-tail長測定の確率と臨床検体の大規模採取によるがん診断のリスク評価を目的として研究を行った。G-tailの急激な短縮がin vitroで再現できるかについても研究し、G-tail測定の優位性を検証した。 1.種々のがん細胞株におけるテロメア、テロメアG-tail長の測定によるテロメア長とG-tailの相関関係の検証 ● 種々の臓器由来のがん細胞株を約50種類に対して、ゲノムDNAを精製し、G-tail telomere HPA法にて測定し定量した。その結果、培養がん細胞において全テロメア長とG-tailは非常によく相関することが明らかになった。 2.細胞にアポトーシス誘導する条件下で全テロメア長とG-tailはどのように変化するかを検証した。 ● テロメア標的薬剤は、短期に細胞がアポトーシスを誘導する濃度で全テロメア長の短縮を誘導せず、G-tailの短縮を顕著に誘導しうることを明らかにした。既存の抗がん剤では、そのような現象はみられなかった。In vivoにおいてもテロメアに対するDNA障害やストレス、薬剤により全テロメア長に影響を及ぼさずG-tailの短縮を誘導しうる可能性が示唆された。 臨床検体を用いたG-tai1測定によるがん診断リスクを行うため、胃がん、大腸がんなどについて検討を行い、健常人に比べてがん患者においてテロメア長、G-tai1ともに効率よく測定および評価できる臨床現場とG-tail測定の効率的なシステムが構築できた。実際に、これら検体にっいてG-tai1を測定したところ、患者群において、テロメア長が健常人レベルであるのにG-tai1が健常人にくらべて短い事例があり、G-tai1測定の有効性が示唆された。
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