研究課題/領域番号 |
18015011
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤堂 具紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80272566)
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研究分担者 |
稲生 靖 東京大学, 医学部附属病院, 研究拠点形成特任教員 (50372371)
田中 実 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50332581)
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キーワード | 癌 / ウイルス / バイオテクノロジー / ゲノム / 遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、ウイルスゲノムを遺伝子工学的に改変して、癌細胞で選択的に複製する増殖型単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)ベクターに直接免疫刺激遺伝子を挿入し、ウイルス複製に伴う直接的な殺細胞効果に加え強力な抗腫瘍免疫作用を有する新治療ベクターの研究開発を目的とした。三重欠失変異を有する増殖型HSV1(T-01)のICP6遺伝子欠失部位に、任意の治療遺伝子を組み込むことのできるHSV-1ベクター作製系(BACシステム)を利用した。このシステムを用いてマウスIL-12遺伝子を挿入したT-mfIL12を作製した。HSV1に感受性の高いA/Jマウスと、同系で低免疫原性のNeuro2a神経芽腫細胞を用いて評価を行った。T-mfIL12は、in vitro、in vivoいずれにおいてもT-01と同等のウイルス複製能を示した。両側皮下腫瘍モデルにおいて片側に腫瘍内投与を行うと、両側いずれの腫瘍に対してもT-mfIL12はT-01に比べ有意に高い抗腫瘍効果を示した。遠隔腫瘍に対するT-mfIL12の効果発現にはTリンパ球を必要とし、また遠隔腫瘍にはX-gal染色、PCRいずれでもウイルスが検出されなかった。T-mfIL12を投与した腫瘍では、投与翌日に高いIL-12の発現を認めて日数とともに減少したが、IFN-γ含有量は日数とともに増加した。脳腫瘍モデルではT-mfIL12治療群のみ対照に比べ有意に生存期間を延長させた。T-mfIL12はまた、静脈内投与でも、皮下腫瘍に対しT-01より高い抗腫瘍効果を示した。BACシステムを用い、更に、マウスIL-12と1L-18を同時に発現する二重武装HSV-1(T-mfIL12/IL18)と、マウスIL-23を2つの異なる方法で発現させたT-mIL23iresとT-mIL23scを作製し、評価を進めている。抗腫瘍免疫賦活活性を有する癌特異的複製型HSV-1の高い有効性が示された。
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