研究課題/領域番号 |
18015014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋山 泰身 東京大学, 医科学研究所, 講師 (50327665)
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研究分担者 |
合田 仁 東京大学, 医科学研究所, 助教 (90361617)
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キーワード | 癌免疫 / NF-kappaB / 制御性T細胞 / 細胞分化 / 胸腺 / 自然免疫 / 樹状細胞 / シグナル伝達 |
研究概要 |
TNF receptor-associated factor 6 (TRAF6)は細胞表面レセプターからのシグナルを伝達し、転写因子を活性化することで獲得免疫応答や自然免疫応答を制御する分子である。申請者はTRAF6に依存した細胞内シグナル伝達を人為的に制御することで癌免疫療法を強化することを目指している。本研究課題では樹状細胞の人為的活性化による癌免疫誘導の強化法の開発と制御性T細胞の人為的な抑制による宿主癌免疫応答の強化を目指した基礎的検討を行なった。ある種の癌の内部には制御性T細胞が多く集積しており、その結果癌免疫応答は制御性T細胞により抑制されることが知られている。すなわち制御性T細胞の分化を抑制することで、宿主の癌免疫応答が強化される可能性がある。そこで本年度は制御性T細胞の分化におけるTRAF6シグナルの役割解明を目指した。TRAF6欠損マウスでは胸腺内制御性T細胞の分化が大きく抑制される。その異常がT細胞やその前駆細胞に固有の異常であるかどうかを決定するために、TRAF6欠損マウスおよび野生型マウスから造血幹細胞を含む胎仔肝細胞を調製し、両者をX線照射したRAG2欠損マウスへ移入した。その結果、TRAF6欠損マウス由来造血幹細胞からの制御性T細胞分化は野生型に比べて大きく抑制された。すなわちTRAF6が関与するシグナルは制御性T細胞の前駆細胞で機能することで、制御性T細胞の分化を制御していることが証明できた。この結果は、T細胞やその前駆細胞において機能するTRAF6シグナルを抑制することにより、制御性T細胞の分化を抑制することが可能であることを示している。今後は、その機構を利用して癌免疫応答を強化する方法の開発へと展開したい。
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