研究課題
新規抗ガン剤の一つとして、プロテオゾーム阻害剤(MG132)の抗ガン作用を解析した。プロテオゾームはポリユビキチン化された様々なタンパク質の分解を担う、細胞にとっては必須の機構である。しかしながらその作用はあらゆる細胞機能に及ぶため抗ガン作用がどのようにして発揮されているのかは不明である。今回、細胞生物学的手法を用いその作用機構を解析した。細胞をプロテオゾーム阻害剤で処理すると、細胞は放射線に感受性になる。この高感受性がどのような細胞機能の阻害で起こっているかを明らかにするため、様々な修復タンパクの挙動を調べた。レーザー照射法および放射線で2重鎖切断を誘導すると、2重鎖切断の初期に機能するタンパク質(H2AX, ATM、SMC1)の集積には異常が見られなかったが、家族性乳癌の原因遺伝子の産物BRCA1、さらにDNA2重鎖切断修復に必須の組換えタンパク質(Rad51)の局在が著しく低下していた。2重鎖切断の人工基質I-SCEをもちいて組換え頻度を測定するとその頻度は低下していた。組換えによる修復は細胞の生存に必須であるのみならず、シスプラチンをはじめとする臨床的に頻用される架橋型抗ガン剤の修復に必須の働きをする。現在、プロテオゾーム阻害が組換えのどの過程をおさえるか、詳細に検討し、組換えに必須のユビキチン化される蛋白質を検索中である。さらに、プロテオゾーム阻害剤と既存の様々な抗ガン剤の併用効果を様々な修復欠損株を用いて検討中である。
すべて 2007 2006
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