研究課題
前立腺癌に対して抗癌活性を示すドラッガブルな化合物の選択前立腺癌と前立腺間質細胞のin vitro共培養実験で、前立腺癌細胞の増殖を強く阻害する活性を指標に、我々が放線菌およびカビの培養液から得た低分子化合物について以下の検討を行なった。活性物質は、構造解析の結果、ペプチド化合物類、新規類縁体を含む複素環化合物類、新規化合物であった。これらの活性物質について、(1)in vivo実験用に微生物培養液から大量に単離精製を行ない、(2)マウスでの毒性を調べ、(3)ヒト前立腺癌細胞のマウスxenograftモデルを用いて、in vivo抗癌活性を調べた。その結果、(1)ペプチド化合物類を70mg、複素環化合物類を数mg〜70mg、新規化合物を100mg程度得ることができた。また、(2)(3)ヒト前立腺癌DU-145細胞と前立腺間質細胞をマウス皮下に接種した実験系において、いくつかの化合物に抗癌活性が認められた。ペプチド化合物類および複素環化合物類はマウスでの毒性が強かったが、新規化合物は毒性が極めて低く、化合物の吸収(血中濃度)、代謝および排泄(糞尿)試験も行ったところ、生体では安定であることが分かった。今後、更なる動物実験を行ない、抗癌活性を見極めるとともに、誘導体化についても検討する。また、より生体を反映した動物実験系を構築するために、蛍光タンパクGFP遺伝子導入前立腺癌細胞を用いたorthotropicなxenograftモデルを検討した。マウスの前立腺にヒト前立腺癌細胞を移植した結果、高率にマウス前立腺に腫瘍を形成させるモデルを構築することができた。今後、このorthotropicなxenograftモデルも用いて、活性物質の抗癌活性を調べる予定である。
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