研究課題
メチル化の変化は細胞分化など様々な過程で重要な役割を担っている。そこで本研究では網羅的なメチル化解析法であるMIAMI法(http://grc.dept.med.gunma-u.ac.jp/〜gene/)のを用いゲノムワイドに遺伝子のプロモーター領域のメチル化を調べた。この研究では特に脱メチル化遺伝子群において変化のなかった遺伝子群と比較して、その出現頻度が異なる、転写因子認識部位、マイクロRNAターゲット、未知のモチーフ等の検索をおこないその特徴を探った。分化の系としてまずP19細胞の神経分化モデルについてMIAMI法でメチル化の変化について調べた。その結果P19細胞の神経分化においておこる変化はほとんど脱メチル化であることがわかった。脱メチル化している配列のCpG含量を調べたところ有意に低いことがわかった。また脱メチル化配列のモチーフ解析をおこなったところOct-4遺伝子の脱メチル化において重要であることが知られているGA box様の配列に濃縮がみられた。これらの頻度を用いてSupport vector machineで教師付学習をおこなったところ高確率で脱メチル化配列を予測できるモデルを構築することができ、脱メチル化配列は特徴を持った配列であることがわかった。次にRNAi機構とDNAメチル化の関連性を検討した。近年、RNAi機構は細胞質におけるmRNAの分解や蛋白質の合成阻害だけでなく、核においてもピストンのメチル化やDNAメチル化といったエピジェネティクな機構に作用することがわかりつつある。しかし哺乳類においてRNAi機構の関与はあまりよくわかっていない。そこでRNAi機構のDNAメチル化への関与を調べるため、脱メチル化配列におけるmiRNAのターゲット配列の含有量について調べた。その結果はmiRNAのターゲット配列が有意に濃縮されており、RNAi機構のDNAメチル化への関与が示唆された。同様なことは肺癌と正常肺との比較においても観察された。以上のように分化、癌化のいずれにおいてもmiRNAターゲットの濃縮がみられ、エピジェネティクな変化のターゲットを決める機構としてRNAiが重要な役割をしていることが示唆された。
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