研究課題/領域番号 |
18016005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多羽田 哲也 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10183865)
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研究分担者 |
佐藤 純 金沢大学, フロンティアサイエンス機構, 特任准教授 (30345235)
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キーワード | 神経前駆細胞 / ショウジョウバエ / Mushroom Body / JAK / STAT / DWnt5 |
研究概要 |
ショウジョウバエ脳に発現する遺伝子の発現パターンと機能の解析から中枢神経系の形成メカニズムを明らかにすることを目的としている。ショウジョウバエのMushroom Body(MB)は嗅覚学習の中枢と考えられており、記憶学習のモデルシステムとして多くの知見が得られている。この構造の形成機構を明らかにするためにエンハンサートラップ系統をスクリーニングし、MBで発現のみられる約200系統を得た。これらの挿入部位のマッピングを終え、近傍の転写単位の探索を行った。これらの遺伝子の変異をもとに機能解析を始め、細胞死に関わることが知られている遺伝子がMBの発生を制御していることを見いだした。これが細胞死の制御なのか、全く異なった機能であるかを調べている。また、DWnt5のMB形成における働きも調べており、レスキュー実験により、MBを構成する細胞がWntシグナルを必要としていることがわかった。視覚系の形成におけるメダラ神経節の形成機構解析の過程で、神経上皮細胞から神経芽細胞が規則正しく形成されるメカニズムを見出した。これはいかなる中枢神経系にも知られていなかったものであり、神経前駆細胞形成を詳細に解析することが可能になった。本年度はこの形成が、JAK/STATシグナルにより負に制御されていることを明らかにした。哺乳動物の脳神経やショウジョウバエの生殖系列においてもJAK/STATシグナルが幹細胞あるいは前駆細胞の維持に機能していることが報告されていることから同シグナルは幹細胞形成一般に機能している可能性がある。このシグナルの強度で細胞の分化プロセスを規定することによって幹細胞の発生を標準化することを提唱したい。
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