本研究では、「生命現象に関する膨大な量の多次元の時系列データを収集・蓄積し、クラスタリング、生物情報と時系列データの相関分析、ネットワークの推定により新規知識を抽出するプログラム」を開発することを目標とした。昨年度までに試作した複数の解析ルーチンを改良し、それらを元にして「時系列データ解析プログラム」を試作した。この「時系列データ解析プログラム」を用いることで、遺伝子発現測定装置から出力される大量の時系列測定データを随時表示・解析しながらデータベース化して記録することに成功した。 昨年度までに試作したルーチンを活用して、単細胞性緑藻クラミドモナスのリズム変異体を大規模スクリーニングし、105個のリズム変異体を分離することに成功した。そして、リズム異常の原因遺伝子を30個クローニングすることに成功した。30個の遺伝子に中の6個は、クラミドモナスの時計遺伝子候補であった。今後は、試作プログラムに未搭載の「クラスタリング機能」や「発現制御ネットワーク解析機能」を搭載してプログラム全体を完成させ、他の研究機関と共同で有用性の実証試験を実施する予定である。 一方、藍色細菌の網羅的なタンパク質間相互作用ネットワーク解析のために、リアルタイムかつin vivoでタンパク質間相互作用を解析できる実験系の開発を試みた。時計タンパク質-蛍光タンパク質の融合タンパク質がin vivoで時計として機能することを確認したBRETのための株を作製したが、現時点までに時計タンパク質の相互作用をBRETで検出できていない。
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