研究課題/領域番号 |
18016018
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 孝哉 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20251655)
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研究分担者 |
上田 修司 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (50379400)
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キーワード | Rac1 / Ras / Rap1 / インスリン / 骨格筋 / 糖取り込み / エンドサイトーシス / インテグリン |
研究概要 |
まず、活性型Rasを認識するプローブを開発し、このプローブを用いて、大腸癌細胞、肺癌細胞などにおいて、実際に内在性Rasの活性化部位の可視化に成功した。各種Rasファミリー、Rhoファミリー分子の多重染色法に関しては、複数の結合ドメインについて異なるタグをもっプローブを用意し、上記のRasが活性化している癌細胞株においてRac1とRhoAの活性化部位の二重染色を試みた。現在詳細な検討を進めている。一方、本研究で確立した内在性Rac1の活性化部位の可視化技術を骨格筋細胞に応用し、インスリン刺激に応答した糖取り込み誘導のシグナル伝達系におけるRac1の機能解析を行なった。筋細胞株L6をインスリン刺激した際の糖取込みの誘導において、Rac1の活性化が必要十分であることを示した。Rac1が活性化されている細胞内領域を解析したところ、細胞表面のラッフル膜上で起こることが明らかとなった。さらに細胞膜表面でのRac1の活性化を制御するグアニンヌクレオチド交換因子を同定し、その恒常的活性型は、インスリン刺激がなくても細胞膜表面のRac1を特異的に活性化し、単独で糖取り込み誘導に十分であることも示された。次に、細胞内部位特異的に活性化されたRac1によるトランスフェリン受容体および上皮増殖因子受容体のクラスリン依存性エンドサイトーシスの抑制機構についても解析を進めた。本研究で開発したRac1の活性化部位の検出法を応用して、核周辺領域で活性化されるRac1が、受容体エンドサイトーシスの抑制に関与することを示した。また、それを制御するグアニンヌクレオチド交換因子やその結合因子も同定し、詳細な調節機構を解析した。また、Rasファミリーの一種であるRap1を介するリンパ球のインテグリン依存性接着の制御系において機能するグアニンヌクレオチド交換因子(RA-GEF-2)の活性調節機構を検討した。
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