研究概要 |
実験グループが計測したNGF添加による細胞内分子活性(RhoA/Rac1/Cdc42)と細胞形態のデータを用い、1分子の活性度と形状変化の相関解析をおこなった。また、細胞形状のエッジを定量化し、形状そのものが形状変化に影響を与える可能性を示した。この可能性について、更に詳細な解析をする必要があるため、関連する以下の研究を行った。 1.生体分子レベルの動力学による細胞機能表現: 本研究課題では、3分子の活性がシステムとして働くことにより細胞機能(細胞形態形成)が実現される。複数の分子が発現する細胞機能としては、HodgkinとHuxleyによるイオンチャンネルと膜電位の非線形モデルが多くの示唆を与える。そのため、生体分子による細胞機能特性についてシミュレーション研究を行った(Igarashi et al.,2006;Sakumura and Ishii,2006)。 2.生体機能の確率モデル表現と統計的解析: 分子活性から形状形成までの生物学的知見が不足するために、それらの間を確率モデルで表現する必要がある。また、個別に観測された複数分子を扱うためのモデルと、それを解析する統計的技術開発が必要である。これらに応用するための確率・統計モデル研究を行った(Oba et al.,2006;Oba and Ishii,2006;Yukinawa el al.,2006)。 3.細胞のマクロな形状形成メカニズム: 本研究課題の対象は細胞のミクロな部位であるが、細胞全体の動きを確認しておく必要がある。特に、神経のような特異な形状を持つ細胞が発達過程で極性を生み出すメカニズムについて、分子レベルから研究を行った(Toriyama et al.,2006)。
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