研究概要 |
ホヤは系統進化学的に重要な位置を占める動物である。近年さまざまな生物で、miRNA・siRNAなどの低分子性RNAやORFのない機能性RNAが生体内で重要な役割を担っていることが示されてきている。本研究では、こうした基盤の上に非翻訳RNAの探索を行った。 まずデータベースの整備を行った。東大金久研の川島助手と米国JGIの川島氏の協力め下に、我々が構築してきたマボヤのESTデータベースMAGESTを根本から改良し、受精卵EST約54,000配列に加えて卵割期EST約14,000配列・原腸胚EST約25,000配列・神経胚EST約8,000配列を載せたMAGEST2.0βを構築した。これによって、コンティグ約11,000とシングレット約6,000の合計約17,000配列が得られ、変態期までの必要なデータがほぼ入手できた。 次に、ここから各種データベースに対してexonerateによるサーチをかけ、高い閾値でヒットした約10,000の配列を除去した。残った約7,000の配列を、JGIのCionaプロテインver.1&2に対してblastxによるサーチをかけ、低い閾値でヒットした約400の配列を除去した。さらに、残った約6,600の配列から、Cionaゲノムに相同配列がないと思われるものを除去し、最後にマボヤミトコンドリアゲノム由来の配列を除去し、22の配列を得た。このなかには、これまで解析の対象となってこなかったORFをもたないpoly(A)RNA(RNA-likeなnon-coding RNA)が含まれると期待される。 その一方で、通常のライブラリーに入ることのないmiRNA・siRNAなどの低分子性RNAを解析するため、ゲノムデータベースのマイニングによってCionaゲノム中の保存されたmiRNA配列を選び取り、その発現を確認した。 一方、実際の細胞から短いRNAだけを選択的に抽出するプロトコールを確立し、約40nt以下のRNAを精製した。これをコンカテマイズしてクローニングする作業を進めている。
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