順遺伝学的解析に滴した脊椎動物モデルとして確立されつつあり、かつ日本で古くから研究の先行しているメダカを用いて、脊椎動物に共通した獲得免疫系の中枢器官である胸腺の発生機序の解明を目指す研究を順遺伝学と逆遺伝学の組み合わせにより行った。 ゲノム網羅的スクリーニングで得られたメダカ胸腺発生異常変異体系統のうち、責任遺伝子のマッピングが完了しつつあった変異体の変異候補領域に予想される遺伝子のcDNA配列決定を進め、新たに2系統において責任候補遺伝子のタンパクコード領域に点変異を特定した。また、これまでに点変異を特定した2系統のうち1系統については、責任遺伝子の機能解析を進めた結果、これまで哺乳類においても機能が知られていなかったWDR55が核小体でrRNAのプロセッシングに関与し結果として細胞周期を制御していること、またWDR55遺伝子欠損はゼブラフィッシュにおいてもメダカと同様に胸腺発生異常をもたらすことを明らかにした(論文準備中)。また、TILLING法により胸腺および獲得免疫系の欠損する免疫不全モデルメダカの作製を進めている。 一方、我々が既に作製していた未熟リンパ球特異的にEGFPを発現するトランスジェニックメダカを用い、初めて胸腺内Tリンパ球の動熊の生理的リアルタイム観察を行い、胸腺へ血管が伸長する以前のT前駆細胞の移入経路を明らかにするとともに、胸腺成熟段階ごとの胸腺内Tリンパ球の運動性の違いを明らかにした(論文投稿中)。
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