リン酸化ペプチドの精製技術の確立 金属キレートカラム(IMAC : immobilized metal affinity chromatography)がリン酸化ペプチドの精製に汎用されているが、非リン酸化ペプチドの混入が大きな問題である。したがって、IMACによるリン酸化ペプチド精製法の詳細な最適化を行い、より特異的かつ菅便なリン酸化ペプチドの精製法を確立した。具体的には金属としてガリウム-IMACカラムを用いて、標準リン酸化タンパク質による予備的な最適化、さらに全細胞抽出液の消化物を用いた詳細な最適化を行った。その結果、一度のLC-MS/MS解析で400種類程度のリン酸化ペプチドの同定が可能となった。 リン酸化ペプチドの同定技術の確立 質量分析計におけるリン酸化ペプチドの解析はリン酸化ペプチドのイオン化効率の低さや特徴的な解列パターンから帰属が困難なことが多い。この問題点を解消するために、精製したリン酸化ペプチドを脱リン酸化処理後、質量分析計による測定を行う方法(PID : Post-IMAC dephosphorylation法)を考案した。実際に抗リン酸化チロシン抗体によって精製したチロシンリン酸化タンパク質を用いてPID法の予備的な実験を行い、確かに脱リン酸化処理によって効率よくリン酸化ペプチドの同定が可能であることが判明した。また、全細胞抽出液から精製したリン酸化ペプチドに対してもPID法を適用し、脱リン酸化によって同定信頼性の向上を認めた。
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