研究課題
1.シロオビアゲハの幼虫皮膚及び翅cDNAデータベースの構築と解析:シロオビアゲハに関しては幼虫皮膚と翅のcDNAを構築し、それぞれ約6000の解析を行った。擬態紋様に関しては数多くの関連遺伝子を同定するとともに、黄色、青色など特定の紋様にリンクした遺伝子を発見した。例えば、青色色素結合遺伝子INS(インセクトシアニン)は5種類あり、あるものは幼虫の擬態紋様、あるものは蛹の保護色(緑と茶)に対応している実態などが明らかとなった。2.ナミアゲハの幼虫皮膚のサブトラクションライブラリーの解析:ナミアゲハの3齢脱皮に特異的な遺伝子としては、約10種類の特殊なクチクラ遺伝子が同定された。これは鳥のフンに擬態する際の疣状の突起に対応したもので、鱗翅目の染色体進化の過程で遺伝子重複によつて出現した可能性が考えられる。さらに培養皮膚を用いたホルモン応答実験により、これらの遺伝子は幼若ホルモンの影響下で4齢脱皮期に発現抑制を受けるように運命づけられることが判明した。この結果は、主としてJHが鳥の糞から柑橘系の葉へと擬態紋様をきりかえており、その制御下にクチクラタンパク質のような実行遺伝子が含まれていることをはじめて示した。3.擬態紋様に関与する遺伝子の発現パターン解析:アゲハの近縁種間でなぜ多様な紋様が生み出されたかを理解するために、ナミアゲハ(シロオビアゲハ、キアゲハの3種類の4齢脱皮期の幼虫で、メラニン合成に関与するTH, DDC、赤色紋様のebony、黄色紋様のYRG青色紋様のINSなどについて発現パターンの比較解析を行つた。その結果、それぞれの遺伝子が各種の紋様に一致して発現することが示された。
すべて 2006
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