研究概要 |
本研究で開発したプログラムが今まで知られていなかった遺伝子の共生関連の機能推定を行えることを確かめるために、既存のデータベースと本研究の比較を行った。全nod遺伝子(23遺伝子)のうちどれだけを共生に関与するものとして機能予測が可能であるかということを例に調べた。その結果、系統プロファイル法やRosetta stone法、Gene neighbor法では機能推定できなかったnod遺伝子の多くが本研究手法で初めて計算的に機能予測できることを確認した。またnod遺伝子以外の根粒形成遺伝子群遺(nol遺伝子群)、窒素固定関連遺伝子群(nif, fix遺伝子群)の共生機能の進化的予測に成功した。さらに共生アイランド全体がゲノムの他の領域と異なる特徴を持つことを推定できた。この他、計画当初考えていたような遺伝子の水平伝播が分子系統学的に推定できただけではなく、根粒形成の促進に関わる遺伝子機能の平行進化や、遺伝子置換によるマメー根粒菌宿主特異性の新規な組み合わせの進化といった、従来知られていなかった進化的現象を発見した。 また難しかった遺伝子破壞系をようやく確立した。そしていままでMesorhizobium根粒形成に必須と考えられてきた共通nod遺伝子群の中に、進化的な特徴が他とは違った遺伝子があることを計算により見いだし、遺伝子破壞により機能を調べ、このnod遺伝子が破壊されていても植物はある程度の根粒形成を行うことを確認した。さらにかずさDNA研究所との共同研究により遺伝子破壞株の提供を受け、共生機能が未知であったいくつかの遺伝子の中に(進化的な予測どおり)根粒形成に関与するものがあることを発見しつつある。
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