斑紋多型を示すナミテントウをいた解析 ナミテントウ斑紋のメラニン形成過程に関与する酵素遺伝子について、larval RNAi法を用いた機能解析およびin situ hybridization法を用いた発現解析の結果、tyrosine hydorxylase(th)、dopa decarboxylase(ddc)、laccase2(lac2)遺伝子は、メラニン形成に必須であり、いずれもメラニン形成領域に一致した発現を示すことが判明した。これらメラニン合成酵素遺伝子の転写開始点を同定するため、RACE法を行った。転写開始点が決定されたlac2遺伝子について、Vectorette PCR法を用い、プロモーターの上流域をクローニングした。 ミュラー型擬態を示すテントウムシ科内の種を用いた解析 ナミテントウで明らかになったメラニン形成過程で必須の役割を果たすフェノール酸化酵素の活性染色を、テントウムシ科の5種の蛹期の翅原基を用いて行った。その結果、いずれもナミテントウと同様にメラニン形成領域に一致した発現を示すことが判明した。 テントウムシと上科レベルで異なるヘリグロテントノミハムシを用いた解析 ナミテントウとヘリグロテントウノミハムシの斑紋形成の共通性・多様性を探るため、まず赤色を構成する成分の分析を行った。その結果、ナミテントウの赤色はカロテノイドが主成分であるのに対し、ヘリグロテントウノミハムシの赤色は色素によるものではなくメラニン形成が生じていないクチクラの硬化反応に由来する色であることが判明した。 ヘリグロテントウノミハムシから、lac2およびebonyのクローニングを行った。ヘリグロテントウノミハムシから得られたcDNAの部分配列から推定されるアミノ酸配列は、ナミテントウの配列に対し、それぞれ70.1%および91.5%であった。
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