研究概要 |
斑紋多型を示すナミテントウを用いた解析 3種のメラニン合成酵素遺伝子のレポーターアッセイを行うため、昆虫の形質転換ベクターであるpiggyBacを用いて、各遺伝子のプロモーター上流域をEGFP遺伝子につないだレポーターアッセイ・ベクター、pBac[Ha-th(-1095)-EGFP,3xP3-DsRed]、pBac[Ha-ddc(-962)-EGFP,3xP3-DsRed]、pBac[Ha-lac2(-1485)-EGFP,3xP3-DsRed]を構築した。続いてこれら3種のベクターをナミテントウの初期胚にマイクロインジェクションした。 ミュラー型擬態を示すテントウムシ科内の種を用いた解析 larval RNAi法による斑紋プレパターン遺伝子の機能解析を行い、成虫の表現型を観察した結果、ナナホシテントウとカメノコテントウでは、ナミテントウと同様にメラニン形成領域が完全に消失し、翅全体が赤いカロテノイド領域に変化する表現型が観察された。 テントウムシと上科レベルで異なるヘリグロテントウノミハムシを用いた餌析 ヘリグロテントノミハムシから、lac2、ebonyおよび斑紋プレパターン遺伝子をクローニングし、larval RNAi法による遺伝子機能解析を行った。その結果、lac2のRNAiではメラニン形成が体全体にわたって阻害されたことから、ヘリグロテントウノミハムシにおいてもlac2はメラニン形成およびクチクラの硬化において必須の役割を果たすことが判明した。一方、ebonyのRNAiでは赤色斑点が無色に変化したことから、ヘリグロテントウノミハムシの赤色斑点はebonyによって生じるクチクラの硬化反応に伴った着色によりもたらされることが判明した。
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