本研究の目的は、先天奇形症候群の病因遺伝子を同定するため、これまで体細胞変異が数多く検出されている癌遺伝子およびそのシグナル伝達経路関連遺伝子を候補として探索する戦略について、その検討と実証をおこなうことにある。 1)遺伝子変異のスクリーニングおよび遺伝子のコピー数の検討(松原、青木) 新たな候補遺伝子における遺伝子変異の検索を行い、これまで報告されていない変異を同定した。また、シークエンスにより遺伝子変異が認められなかった症例について、MLPA法を用いた候補遺伝子のコピー数の検索をおこなったが、これまでのところコピー数の異常は同定されなかった。 2)変異蛋白の機能解析 (1)細胞内発現による変異蛋白の生化学的・細胞生物学的特性の検討(青木) 変異遺伝子を細胞内で発現させ、その変異蛋白の活性や他の分子との結合について検討した。 (2)細胞内発現によるシグナル伝達系に及ぼす影響の検討(青木) 上記の発現ベクターと共に、シグナル伝達系の下流にあたる転写因子の転写活性をルシフェラーゼ活性として測定し、変異蛋白がそのシグナル伝達系に及ぼす影響を検討した。 (3)変異蛋白を過剰発現させたトランスジェニックマウスの作製に関する検討(青木、松原) トランスジェニックマウス作成のためのベクター作成をおこなった。 なお、本研究は東北大学医学部倫理委員会の承認(承認番号#2001-217)を得ており、遺伝子解析研究は3省庁の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に沿って行った。
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