(1)SNPによって規定される連鎖不平衡の程度を計算し、その結果に基づいて疾患感受性変異が存在するゲノム領域を最尤法によって予測する新規統計学的手法の開発 解析したSNPデータより、連鎖不平衡の程度r^2と物理距離dの関係r^2=f(d)をcontrol集団のデータから計算する(ただし、f(d)は単調減少関数とする)。当該領域上のある地点xに、仮想感受性変異Aが存在すると仮定し、その対立遺伝子頻度をpとし、AA、Aa、aa遺伝子型の浸透率をf2、f1、f0とする。対象疾患の集団罹患率Kは既知とする(K=f2 x p^2+f1 x 2p(1-p)+f0 x (1-p)^2の関係より、4つの未知パラメタのうち3つを決定すると残りの1つが決まる)。i番目のSNPマーカーにおける関連アリルB(case群での頻度がcontrol群よりも高い方のアリル)の頻度をq(control集団から直接に推定)、そのアリルの浸透率をg2、g1、g0とすると、そのマーカーでの尤度Liを記述することができる(実際にはg2、g1、g0はf2、f1、f0、p、q、K、f(x)によって表示する)。全マーカーT個に対して尤度Liを計算し、それらを掛け合わせた値の対数をとった対数尤度を最大にするような、f2、f1、f0の値を探す。これを、領域の全ての点(実際には1kbおき程度)について計算し、LTを最大にする地点(感受性変異が存在する候補地点)の検出を行うアルゴリズムの開発を行った。コンピュータシミュレーションにより作成した疑似データに対し、効率よく感受性変異遺伝子座の検出を行えることが確認された。 (2)デング出血熱関連遺伝子研究 解析対象:タイ国の病院で治療を受けたデング熱患者(デング熱患者およびデング出血熱患者を合計した約1100名)を研究対象とした。解析対象遺伝子:TNFA、IL1、CD209遺伝子プロモーター領域のSNP多型、IL1RAのリピート多型の解析を行った。
|